皆さん庭木の消毒ってどうされてますかね?
業者に頼んで、年に1回か2回か3回か、「定期的にやってもらってるよ」っていうお宅もあるんじゃないかと思うんですが
消毒してもらったのに虫がついたなんて事ないですか?
ありますね?
先ずはそのことから解説していきます
薬剤の効果っていうのは、展着剤(葉っぱに薬剤がくっつきやすくするノリみたいなもの)を混ぜても1週間程度なんです
なので薬剤散布した1週間後に付いた虫に対しては効果が出にくいわけなんですよね
「消毒したからもう大丈夫」ではないんですよ
害虫が発生する大まかな時期っていうのは大体同じなんですけど、その年の気温だったり天候によってズレがあるので、発生するジャストなタイミングで薬剤散布するっていうのは不可能なんですよね
なので、こんなこと言うと怒る業者もいると思うんですけど
薬剤の定期散布は造園業者の小遣い稼ぎくらいにしかなってないという訳です
じゃあどうすればいいのかって事になるんですけど
実は、樂景は消毒って殆どやってないんですよ
1件だけですね、どうしてもっていうお客さんがいるのでやってますが
庭を綺麗にしていれば消毒してなくても虫ってそんなにつかないんですよね
そもそも、木には害虫に対しての耐性があります
害虫が葉を食べると、葉に含まれるポリフェノール(苦み成分)が害虫の消化を阻害して食欲をなくさせるっていう働きをするんですが
虫も負けじと、解毒をしながら食事をするという涙ぐましい努力で対抗していきます
食物連鎖の戦いが、そこにはある訳なんですが
植物は更に、葉をかじられると匂いの成分を微妙にブレンドして、害虫の天敵になる虫を呼び寄せることで自らを守っているわけなんですね
こんな感じで上手く生態系のバランスが保たれているんですが
ここに消毒をするとどうなるかというのが次の話です
消毒っていうとスミチオンとかオルトランなんかが皆さん頭に浮かぶと思うんですけど
スミチオンっていうのは害虫が薬剤に接触または薬剤が付いた葉を食べることによって駆除するもので即効性がある強い薬剤です
オルトランは浸透性の薬剤で根や葉から吸収した有効成分が全体に回ってそれを食べた虫を駆除するものなので殺虫効果はどちらもあります
なので害虫駆除に消毒は有効なんですが
害虫を食べる益虫もまとめて駆除してしまうので
害虫が大量に発生した場合は撒いてもいいとは思うんですが、通常はなるべく撒かないほうが良いんじゃないかなと私は思っています
この辺をもうちょっと詳しく掘り下げると
消毒を繰り返しすることで、木が持ってる本来の耐性が下がると言うことを言っている人が結構いるんですよ
私もそう感じています
なのですが、このことを何度か調べてみたんですが、消毒の薬剤が直接耐性を下げるっていう根拠がみつけられないんですよね
最近よく聞くエビデンスってやつが出てこないんですよね
そんな中、なるほどと思った説明があったので紹介します
1.先ず予防のために消毒をします
2.それによりその場所にいた益虫が駆除されてしまう
3.そこに発生頻度の高い害虫が産卵して繁殖するので、駆除のために消毒します
4.その後も以前の虫がつく嫌なイメージがあるのでまた予防の消毒をしてしまう
つまり、消毒によって害虫を捕食する益虫が全くいなくなるので、害虫パラダイスになって
消毒をやり続けないといけなくなるという負のループにはまって
木の耐性が下がったように見えるということなんですね
これはなかなか腑に落ちる説なんじゃないかと思うんですが
更に言うと、害虫は薬剤に対しての耐性を付けるので、2.3年おきに薬剤を変えてやったりするんですが
薬剤の使用期限っていうのがあるので、どうしても期限内に使い切りたいからずっと同じ薬剤を使いがちになると思うんですよ
そうすると耐性が付いた虫をどうにか駆除しようとして濃度を上げてしまうと
濃い薬剤によって葉焼けなんかが起こって光合成が阻害されるので木が弱くなることもあるんですよ
自然界の理に人間が介入すると、本当にろくなことになりません
人体にも影響は少ないとはいえあるので、無意味な散布っていうのは減らした方がいいんじゃないかなと思います
もちろん、害虫が大量発生した時の薬剤散布を否定するわけではないですよ
今の話を聞いて消毒するの止めてみようかなと思った方に1つ注意点なんですけど
消毒をやめた後も、益虫の数が足りない状況は続くので1次的に害虫にやられまくるなんて事もあると思います
2.3年くらい厳しい状況になるかもしれないので、そこだけ注意してください
とはいえ予防策っていうのは皆さん取りたいわけじゃないですか
じゃあ害虫予防って消毒以外に何があるかっていう話なんですけど
1にも2にも風通しを良くするっていうことなんですよ
「ウチは消毒やってないけど害虫の被害はあんまりない」って話しましたけど
これ以外に樂景は害虫予防としてやってることってないんですよね
木単体はもちろんなんですけど、庭全体も風の通りを良くしてやることでかなりの予防になると思うので
剪定の時に少し枝を間引くとか、棚を少し減らすとかしてみると大分変ってくると思います
鳥とかも害虫食べるので、発見しやすくしてやるといいですね
それと、天然由来のもので消毒するなんて方法もあるんですが、木酢とか牛乳とか
こちらは私があんまり詳しくないので、庭師というより園芸系の人たちの方が詳しく説明している人がいると思いますので、興味のある方は調べてみてください
これまで話してきたことから、消毒は業者に依頼するんじゃなくて庭木を持っている人が自分でやるのが一番効果があるんじゃないかと思うんですよ
消毒っていうより、虫がいるところにスプレーの殺虫剤を部分的に掛けるくらいでいいと思うんですよ
それなら近隣トラブルにもなりにくいですからね
で、業者もですね、消毒は受け付けてはいるけど積極的に消毒回りをしてる業者っていうのを見かけなくなってるんですよね
あと学校とか公園とか団地とかで、でっかい噴霧器で薬剤ぶちまけてるっていうのも見かけなくなてるんですよ
まあ実際それほど他の業者と交流があるわけではないので実態はどうか分からないんですけど、減った気がします
消毒って近隣トラブルになる事が非常に多いので、リスクと消毒することで得る対価っていうのが釣り合わないんですよ
それで消毒を撤退した業者が増えたんじゃないかと、詳しくは知らないんですがそんな感じかななんて思っています
ちょっとそれに無理やりこじつける感じなんですけど
ここ2.3年、庭師の最大の天敵であるチャドクガをほぼ見かけなくなったんですよ
いるのはいるんですけど、見つけるとちょっと嬉しくなるくらいのレベルでいないんですよね
昔だと、庭に入った瞬間に体中が痒くなるくらい庭中の木がチャドクガにやられてるなんてことがあったんですけど
今は全くなくなってるんですよ
それも、消毒する業者とか希望するお客さんが減ったことによって、庭の生態系が正常化してきたってことも考えられなくはないんじゃないかなと
まあどれだけ消毒の件数が減ってるかっていう統計が取れてるわけではないので分からないし、気温の変化っていうのも大きく関係してると思うのではっきりしたことは言えないんですけど
そういうこともありそうかなという感じですね
最後にですね、補足みたいな話なんですけど
スミチオンが生産終了になるようです
なにせ消毒をやってきてないので詳しくないんですけど
ネットの記事みても生産終了とか登録変更とか書いてあってよくわからなかったんですが
登録変更ってなんじゃいと思って調べてみたんですけど、登録っていうのは農林水産大臣の許可がおりたよってことみたいで
許可が下りなくなったという感じかなと思うんですが
国の農薬に対する評価が変わったことでスミチオンの登録が現在のままでは通らなくなったということのようです
知らないことなので説明グズグズですけど
スミチオンの製造元である住友化学は、今後も持続可能な対応をすると言っていて
薬剤としての効果とか安全性とかのデータを作り直して再度登録を目指すようです
ヨーロッパの方では有機リン系の薬剤が禁止傾向にあるので、その流れを受けての日本の対応なんじゃないかなと思います
なににしろ一旦生産は終了するようなのでスミチオン買っておきたいという方は、業者の買いだめなんかも予想されますので、早めに購入するといいんじゃないかなと思います
ということで、消毒の話をしましたが
まだまだ話せることがいっぱいあるお題なんですが
あんまり難しい内容にしても話がややこしくなるだけなので削ぎ落してお伝えしました
あの、害虫って確かに嫌だと思うんですよ、私も現場で見るのは嫌なんですけど
害虫も生態系の一部なのでゼロにするっていうのは違うのかなと思うんですよ
「ミツバチがいなくなると4年で人類が滅亡する」ってアインシュタインだったかな?の言葉があるように
我々が害虫と呼んでるものも、いなくなってしまうとどこかがおかしくなってくるんだと思うんですね
なので、うまく害虫と付き合っていくみたいな感じの害虫対策をしていければいいんじゃないかなと思います
それと、こういう薬剤とかの話って、出てるデータとか根拠とかの捉え方が人によって色々あるものなので、これが正解とかそれは間違いとかなかなか判断するのって難しいと思うんですよね
なので、私の話はあくまで参考として聞いてもらって、消毒について考えるきっかけにしてもらえるといいかなと思います
樂景 山下

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